ART TRACE 企画シンポジウム

ボイスとパレルモ ── 二焦点の座談


「ボイス+パレルモ展」豊田市美術館での展示風景(撮影:木奥惠三)
左:パレルモ《無題》(1977、個人蔵)
右:ヨーゼフ・ボイス《カプリ・バッテリー》(1985、国立国際美術館)
©VG Bild-Kunst, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2021 E4044 

「ボイス+パレルモ」という展覧会が現在、日本を巡回している。師弟関係にあった二人のドイツ出身の作家について、二つの焦点をおいて楕円を描くように企画された展覧会だ。片や、ドイツのみならず戦後美術のグローバルな展開において広い影響力を持った神話的な大家、片や、一部に熱い支持者を持ちながらも夭折し、2000年代になって漸くその仕事の意味が広く再評価されるようになった作家。両者の仕事の間には、屈折した連続と響き合う離反の緊張に満ちた領域が広がっている。彫刻と絵画、非色彩と色彩、理念と実践、そういった二極的構造が多元的に絡まりあうその領域には、もう一つ、戦後から冷戦にかけてのグローバルな歴史的状況が、第三項として斜めから突き刺さっている。両者は共に、ドイツ人そしてヨーロッパ人として絶えずアメリカを意識しつつ、横断的な移動を繰り返しつつ制作を続けた。が、同時に二人の痕跡は、どこかねじれの時空を形成しているようでもある。本座談会では、そのような問題意識を念頭に置きながら、今回の展覧会の企画者である豊田市美術館の鈴木俊晴さん、国立国際美術館の福元崇志さん、そしてブリンキー・パレルモの研究者である岡添瑠子さんをお招きして、3部構成──①ボイス、②パレルモ、③全体討議──で議論を展開する。展覧会実現に至るまでの貴重な挿話なども交えながら、一方では、戦後史と共に展開してきた現代美術という領野全体をも意識した広がりのある話し合いにしたい。
林道郎 

パネリスト
鈴木俊晴、福元崇志、岡添瑠子、松井勝正、松浦寿夫、林道郎

日時:2021年8月22日(日) 15:00~18:00
参加費:800円


本イベントは、オンライン配信(Zoom)の同時視聴でのみ、ご参加いただけます。
参加をご希望の方は、こちらからチケットをご購入ください。

お申し込み時登録いただいたアドレスに、開催前日の8/21(土)の夜、info@arttrace.org からZoomのリンクをお送りいたします。
※チケットの発送はございません。
※遅くとも開催当日正午(8/22 12:00)までにご購入を完了していただくようお願いいたします。
※コンビニ決済・銀行振込のお客様は前日までに支払いを完了していただくようお願いいたします。
お問い合わせ、ご質問につきましては info@arttrace.org にて承ります。
※アーカイブ配信は行いません。

パネリストプロフィール

鈴木俊晴(すずき としはる)

1982年生まれ。豊田市美術館学芸員。名古屋大学非常勤講師。近現代美術史。勤務館での企画に「村瀬恭子 fluttering far away」(2010年)、「フランシス・ベーコン」(2013年)、「ジャン・フォートリエ」(2014年)、「奈良美智 for better or worse」(2017年)、「コレクション展 光について/光をともして」(2020年)など。共著の『スポーツ/アート』(森話社、2020年)にはゲルハルト・リヒターとブリンキー・パレルモについて書いています。
福元崇志(ふくもと たかし)

1982年生まれ。国立国際美術館主任研究員。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退。ドイツと日本の戦後美術を中心に研究。企画した主な展覧会として、「エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ」(2016年)、「福岡道雄 つくらない彫刻家」(2017年)、「コレクション:80年代の時代精神(ツァイトガイスト)」(2018-19年)、「コレクション:越境する線描」(2020年)、「ボイス+パレルモ」(2021-22年)など。
岡添瑠子(おかぞえ りゅうこ)

1988 年⽣まれ。早稲⽥⼤学⽂学研究科博⼠後期課程在籍。専⾨は近現代美術史。パレルモ に関する論考に「ブリンキー・パレルモの『布絵画』に関する考察」『秋⽥公⽴美術⼤学研 究紀要』第 5 号(2018 年)、「⾒出された⾊」のありか ──ブリンキー・パレルモの『メタ ル・ピクチャー』における⾊彩をめぐって」REPRE vol.35(表象⽂化論学会、2019 年)。
松井 勝正(まつい かつまさ)

1971年生まれ。芸術学。武蔵野美術大学、東京造形大学非常勤講師。 ロバート・スミッソンにかかわる仕事として、論文「《エナンチオモルフィック・チェンバーズ》の立体化」『美史研ジャーナル』2(武蔵野美術大学美学美術史研究室、2015)、共著に『西洋近代の都市と芸術7ニューヨーク』(竹林舎、2017)、『現代アート10 講』(武蔵野美術大学出版局、2017)など。著述以外の活動として「宮城でのアース・プロジェクト:Robert Smithson without Robert Smithson」展(風ノ沢ミュージアム、2015年)など。
松浦 寿夫(まつうら ひさお)

1954年生まれ。画家。武蔵野美術大学教授。近代芸術の歴史/理論。
林 道郎(はやし みちお)

1999 年コロンビア大学大学院美術史学科博士号取得。現在上智大学国際教養学部教授。美術史および美術批評。主な著作に『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』(全7冊、ART TRACE、2003-9)。『死者とともに生きる』(現代書館、2015年)。「Tracing the Graphic in Postwar Japanese Art」(Tokyo 1955-1970: A New Avant-Garde, New York: The Museum of Modern Art,2012)、共編書に『シュルレアリスム美術を語るために』(鈴木雅雄と共著、水声社、2011 年)、From Postwar to Postmodern: Art in Japan 1945-1989 (New York: The Museum of Modern Art, 2012)など。