連続対談シリーズ「私的占領、絵画の論理」
第五回「絵画における人のかたちと外部」─及川聡子─
美術が、人と人とのコミュニケーション(共感や反感の、また商材としての交換行為を含む)のツールとしてのみ求められる環境は、しかし既に飽和してはいないでしょうか。我々は人間関係抜きでは生きられないと強迫されつつ、ほとんど強制された労働のように人相互のコミュニケーションに疲弊しています。
絵を描くことは、古来、人間以外の事物への窓を穿つ行為でした。人の社会の価値観は一度棚上げされ、非-人間世界から、今・ここのそれとは異なる価値体系をダウンロードする技法として、絵は発展してきたのです。逆説的ではあるものの、本来的に、私たちは人間以外の場所と通じなければ、人間として生きられないのです。
及川聡子氏は「外部」との交換-交歓のなかに絵画を置いてきた作家です。日本画の高度な技術を駆使しながら、しかしその造形言語は、古代ギリシャからユーラシアまでを含んだ超広域的な普遍性と越境性からなっています。そのような及川氏の絵画に、今あらためて「人のかたち」があらわれてきました。この意味するところがなんなのか、考えてみたいと思います。
永瀬恭一
パネリスト及川聡子、永瀬恭一
日時:2021年11月20日(土) 19:30~21:00
場所:アートトレイスギャラリー 【Access】
定員:20名
参加費:700円
参加をご希望の方は info@arttrace.orgまで、お名前と「11月20日イベント申し込み」の旨をご連絡ください。
お問い合わせ、ご質問につきましても info@arttrace.org にて承ります。
※定員を超過した場合は締切とさせていただく事もございます。
※当日開始時間にご来場いただけなかった場合、ご予約をされていても立見となる可能性がございます。申し訳ございませんが何卒ご了承ください。
※お申し込みいただいた方には、今後ART TRACEより展示、イベント等の情報を配信いたします。 (今回の参加のみご希望の方は、お申し込み時「情報配信不要」の旨をメールにご記載願います)
※新型コロナウィルス感染予防のため、定員を減らし、席の間隔を空ける等対策をして開催いたします。
※今後の状況次第では中止となる可能性があります。
ご来場の際にはこちらのサイトやART TRACEのSNSにて、直近の情報のご確認をお願いいたします。
※ご参加いただく方は、感染予防にご協力をお願いいたします。
・ギャラリー内では他の来場者やスタッフとの距離を開けてください。
・発熱、風邪等の症状がある方はご来場をお控えください。
・ご来場の際はマスクの着用をお願いいたします。
その他、会場に注意事項の掲示がある場合には、そちらに従っていただきますようお願いいたします。
ご理解のほど何卒よろしくお願いいたします。
パネリストプロフィール
及川聡子(おいかわ さとこ) |
1970 宮城県仙台市生まれ 1993 東京造形大学造形学部美術学科卒業 1995 東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了 2003 文化庁新進芸術家国内研修員 【主な個展】 1998 個展(ギャラリー21+葉/銀座) 2000 個展(ギャラリー戸村/京橋)‘02 2004 個展(space UMU/仙台・佐藤美術館/新宿) 2007 個展(ギャラリー山口/京橋) 2010 個展(数寄和/西荻窪・大津) 2012 及川聡子展 薄氷/水焔(ギャラリーせいほう/銀座) 2017 及川聡子展 水焔─透目/浮游/器(ギャラリーせいほう/銀座) 2019 及川聡子展 光の萌(新宿中村屋美術館) 【主なグループ展、コンクール等】 2000 日韓青年美術交流展 駐日韓国大使館 韓国文化院(日本) 2nd Contemporary Young Painter Exhibition from JAPAN(バングラディッシュ) 2004 第14回花の美術大賞展 「根日女賞」受賞(加西市) 2007 平和へのメッセージ展(佐藤美術館/新宿)、平成18年度宮城県芸術選奨新人賞 2008 VOCA2008(上野の森美術館) 第4回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展 入選(豊橋市美術博物館) 第4回日経日本画大賞展 入選(ニューオータニ美術館) 2009 第15回尖展(京都市美術館)‘14 2010 三叉景(ギャラリー和田/銀座)現在まで 日美展 特別展示「現代水墨作家」(国立新美術館/六本木)‘12~‘15 2012 水墨最前線2012-朝倉隆文 及川聡子 大塚怜美-(日本橋髙島屋美術 画廊X) 墨と紙が生み出す美の世界展(徳島県立近代美術館) 2013 ~24名の作家による~今日の墨表現展(佐藤美術館/新宿) 2015 第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展 入選(上野の森美術館)‘18 2016 曹洞宗 六國峯 長泉寺(宮城県角田町)に襖絵制作 2018 日本水墨画大展2018 大賞(兵庫県尼崎市尼信会館) |
永瀬 恭一(ながせ きょういち) 1969年生まれ。画家。東京造形大学卒。2008年から「組立」開始。 主な個展「感覚された組織化の倫理」(2021年、M-gallery)、主なグループ展「エピクロスの空地」(2017年、東京都美術館セレクショングループ展)他。主な共著『成田克彦―「もの派」の残り火と絵画への希求』(2017年、東京造形大学現代造形創造センター)、『20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から』(2015年、ARTDIVER)等。 |